リコース付きファクタリングのリスクとメリット、選び方を徹底解説!

リコース付きファクタリングのリスクとメリット、選び方を徹底解説!

事業資金の確保に頭を悩ませる経営者にとって、ファクタリングは有力な選択肢です。

中でも、リコース付きファクタリングは手数料が安いことからも、導入を検討している方は多いのではないでしょうか。しかし、ファクタリングを利用するのであれば「ノンリコースにすべき」というフレーズも見かけます。

そこで今回は、ファクタリング導入検討時に検討すべき、リコースのリスクとメリット、具体的な選び方を徹底解説します。

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リコース付きファクタリングの基本とは?

リコース付きファクタリングの基本とは?

リコース付きファクタリングは、一般的なファクタリングと比べて手数料を抑えることができます。しかし、債権回収のリスクを経営者側で負担するリスクは見逃せません。

ファクタリングの導入を検討する場合は、将来的なリスクを見据えるためにも、まずはリコースの仕組みについて理解すべきでしょう。

リコース付きファクタリングの仕組み

リコース付きファクタリングが通常のファクタリングと大きく異なる点は、売掛金の支払いが滞った場合に経営者側で返済義務を負う点にあります。

リコースとは「償還請求権(しょうかんせいきゅうけん)」を意味する金融用語です。償還請求権とは、売掛先からの入金が滞った際、ファクタリング会社が経営者に対して支払いを請求できる権利のこと。つまりは、元々の債権の持ち主に遡って支払いを求める権利です。

支払い不能時の返済義務

売掛先企業が倒産や資金難に陥り、支払いが滞る事態が発生した場合、経営者には全額返済の義務が生じます。支払期日までに売掛金の回収ができなかった場合、ファクタリング会社から支払い請求が届いてしまうのです。

経営者は自社の資金から返済する必要があり、場合によっては新たな借入や資産の売却などで対応を迫られます。返済できない場合は、法的措置の対象となる可能性もあり、経営に深刻な影響を及ぼすリスクがあります。

もし、支払い遅延が発生した場合、ファクタリング会社からの督促に加え、遅延損害金が発生する場合もあり、注意が必要です。

契約時には返済義務の具体的な内容と、遅延時のペナルティについて必ず確認しましょう。

リコース付きとノンリコースの違い

リコース付きファクタリングは、経営者が返済リスクを負担するのに対し、ノンリコース型では支払い不能時のリスクをファクタリング会社が引き受けます。

そのため、経営者側でリスクを負担する分だけ、リコース付きは手数料が安く設定されているのが特徴です。売掛先の信用が高く、支払い遅延のリスクが低い場合は、コスト面のメリットが大きくなります。

一方、ノンリコース型の手数料は高めですが、売掛先の支払い不能時も経営者の返済義務はありません。売掛先の信用力に不安がある場合は、ノンリコース型を選択する方が安全です。

とはいえ、業界によって一般的な取引形態は異なり、建設業では出来高払いの案件が多いため、ノンリコース型が選ばれやすい傾向にあります。反対に大手メーカーとの継続的な取引が多い製造業では、信頼度が高いことからもリコース付きが選ばれやすいです。

リコース付きファクタリングのメリットとデメリット

リコース付きファクタリングのメリットとデメリット

リコース付きファクタリングの利用を検討しているのであれば、あらかじめメリットとデメリットについてしっかりと把握しておく必要があります。

利用するメリット

リコース付きファクタリングの最大のメリットは、手数料の安さにあります。

経営者側でリスクを負担する分、一般的なファクタリングと比べて2-3割程度の手数料を抑えられる点はまさにメリットです。

また、売掛先が大手企業など信用力の高い取引先であれば、さらに有利な条件で契約できる場合もあります。

さらに、支払い遅延のリスクが低いと判断される取引では、手数料率が1%台まで下がるケースもあります。継続的な取引関係にある優良企業との取引では、リコース付きファクタリングは有効な選択肢となるでしょう。

考慮すべきデメリット

考慮すべきデメリットとしては、売掛先の支払い不能時に全額返済義務を負うリスクがある点です。経営者は自社の資金力と売掛先の信用力を、慎重に見極めなければなりません。

売掛先の経営状況が急激に悪化するリスクもあり、返済義務が発生した場合は自社の資金繰りが一気に悪化する可能性があるのです。

しかし、返済義務の発生は予測が難しく、突然の支払い要請に対応できない可能性もあります。特に季節変動の大きい業種や、業界全体が不況に陥るリスクがある場合は注意しましょう。

ノンリコースとの比較

リコース付きとノンリコースは、リスク負担が大きく異なるため、手数料の安さを取るか、それともリスクヘッジを重視するか、経営判断が問われます。

ノンリコース型は手数料が割高な反面、売掛先の支払い不能時も経営者の返済義務はありません。リスクをファクタリング会社に転嫁できる分、安全性は格段に高くなるでしょう。

リコース付きファクタリングを選ぶ時の注意点

リコース付きファクタリングを選ぶ時の注意点

ファクタリングの導入を検討する際は、自社の経営状況と照らし合わせながら、慎重に判断すべきです。以下では、具体的な判断基準と注意点について詳しく解説します。

売掛先の信用力をチェック

売掛先の信用力は、ファクタリング導入を検討する上で最も重要な判断材料です。上場企業や優良企業との取引では、支払い遅延のリスクは極めて低く、リコース付きファクタリングのメリットを最大限活用できます

信用力を判断する際は、帝国データバンクや東京商工リサーチなどの企業信用調査会社のレポートも参考になります。

取引先の財務状況や支払い履歴を確認し、リスクを正確に把握することが重要です。

また、信用調査においては、財務状況だけでなく、業界動向や経営陣の評判なども確認するのがおすすめです。特に非上場企業との取引では、表面的な数字だけでなく、総合的な判断が必要となるため注意しましょう。

ノンリコースを選ぶ基準

売掛先の業績や資金繰りに不安がある場合は、ノンリコース型を選択する方が賢明です。

手数料は高めですが、リスクをファクタリング会社に転嫁できる安全性を重視しましょう。特に取引金額が大きい場合や、売掛先の業界全体が不況の場合は、ノンリコースが無難といえます。経営破綻のリスクが高まった際、返済義務を負うリコース付きは避けましょう。

また、新規取引先や業歴の浅い企業との取引では、支払い履歴や信用情報が十分でないため、ノンリコース型を選択するのが安全です。後に、複数回の取引実績を積み重ね、信頼関係が構築できたのであれば、リコース付きへの切り替えを検討するのも良いでしょう。

自社の財務状況との整合性

ファクタリングを導入する際は、自社の財務状況も重要な判断基準となります。売掛先が支払い不能に陥った場合、全額返済できる資金力があるかを見極めましょう。

具体的には、月次の資金繰り表を作成し、返済義務が発生した場合のシミュレーションを行います。予備の資金調達手段や担保となる資産についても、事前に確認しておきましょう。

まとめ

リコース付きファクタリングは、手数料の安さが魅力的な資金調達手段です。

一方で売掛先の支払い不能時には経営者が全額返済義務を負うため、導入判断には慎重な検討が必要となります。優良企業との継続的な取引では有効活用できますが、信用力に不安のある取引先との取引では避けるべきでしょう。

手数料は高くてもノンリコース型を選択し、リスクをヘッジする判断も重要です。経営者には自社の財務状況と売掛先の信用力を正確に見極め、長期的な視点で最適な資金調達手段を確立することが求められます。

この記事を書いた人

自らの経験に基づいた、ファクタリングや与信管理に関する豊富な実績を持ち、これまでに数百社の取引をサポート。
当メディアでは企業の資金繰りに役立つ情報発信を行うとともに、中小企業向けにファクタリングのアドバイザリーサービスも提供しています。

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