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ファクタリングという言葉を聞いたことはあるでしょうか。ファクタリングとは売掛金を現金化し、素早く資金を確保できる手法で、中小企業や個人事業主にとって、資金繰りの強い味方となる可能性があります。
本記事ではファクタリングの基本から、実際の利用方法、注意点まで幅広く解説します。経営に役立つ情報が満載ですので、ぜひ最後までお付き合いください。
ファクタリングについて、定義から仕組み、種類まで詳しく解説します。資金調達の新たな選択肢として、ファクタリングの全体像を把握しましょう。
ファクタリングは企業や個人事業主が保有する売掛金をファクタリング会社が買い取るサービスで、資金繰りの改善や運転資金の確保に活用される手法として注目を集めています。簡単にいうと、まだ回収していない売掛金を早めに現金化できる仕組みと考えてよいでしょう。
売掛金は確実に入金される予定の金額ですが、実際に入金されるまでには時間がかかります。その間の資金繰りに困る企業も少なくありません。しかし、ファクタリングを利用すれば、入金までの待ち時間を短縮できます。
ファクタリングは特に中小企業や個人事業主にとって有効な選択肢です。銀行からの融資が難しい場合でも、売掛金さえあれば資金調達が可能だからです。経営の安定化や成長のための投資資金確保に役立ちます。
ファクタリングの仕組みは大きく分けて2種類あります。2社間ファクタリングと3社間ファクタリングです。それぞれの特徴をみていきましょう。
2社間ファクタリングは、売掛金を持つ企業とファクタリング会社の間で行われます。売掛金を持つ企業がファクタリング会社に売掛金を譲渡し、代金を受け取ります。その後、売掛金の支払期日になると、売掛金を持つ企業が取引先から代金を回収し、ファクタリング会社に支払うという流れです。
3社間ファクタリングは、売掛金を持つ企業、ファクタリング会社、取引先の3者で行われ、売掛金を持つ企業がファクタリング会社に売掛金を譲渡し、その代金を受け取ります。支払期日になると、取引先が直接ファクタリング会社に代金を支払います。
2社間ファクタリングは手続きが比較的簡単で、取引先に知られずに利用できるメリットがあり、一方、3社間ファクタリングは手数料が安いケースが多いのが特徴です。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの他にもいくつかの種類があります。主なものを紹介しましょう。
種類 | 概要 | 特徴 | メリット | デメリット | 具体的な利用シーン |
---|---|---|---|---|---|
買取型 | 売掛債権をファクタリング会社に売却し、その対価を即時または早期に受け取る | 売却した時点で債権がファクタリング会社に移転 | ・資金調達がスピーディー ・審査が比較的容易 ・担保が不要 ・信用情報に影響なし | ・手数料がかかる ・売掛債権を回収できないリスクはファクタリング会社へ移転 | ・短期的な資金ショートが発生している ・売掛債権の回収に時間がかかり、資金繰りが厳しい ・複数の売掛債権をまとめて現金化したい |
保証型 | 売掛債権の回収をファクタリング会社に保証してもらう | 債権は企業が保有したまま | ・売掛金の回収リスクを回避できる ・取引先への影響が少ない | ・手数料がかかる ・資金調達には繋がらない | ・取引先の信用力に不安がある ・売掛金の回収リスクを軽減したい ・資金調達は不要だが、売掛金の回収を保証してほしい |
2社間ファクタリング | 企業とファクタリング会社の2者間で契約 | 手続きが簡便取引先に知られにくい | ・手続きがスピーディー ・取引先との関係悪化のリスクが少ない | ・債権回収のリスクは企業が負う | ・短期的な資金調達が必要な場合 ・取引先との関係を重視したい場合 |
3社間ファクタリング | 企業、ファクタリング会社、債務者の3者間で契約 | 債権回収の手続きはファクタリング会社が行う | ・債権回収の手続きが簡素化 ・債権回収のリスクを軽減 | ・取引先にファクタリングを利用していることが知られる可能性がある | ・債権回収に時間がかかっている場合 ・債権回収業務を外部に委託したい場合 |
一括ファクタリング | 複数の売掛債権を一括して売却 | 複数の債権をまとめて処理できる | ・手続きが簡便 ・事務処理の効率化 | ・個別債権の交渉ができない | ・複数の債権をまとめて現金化したい場合 |
医療ファクタリング | 医療機関が有する売掛債権を対象 | 医療機関特有の債権に対応 | ・医療機関の資金繰りを改善 ・債権回収の手続きを簡素化 | ・手数料がかかる ・医療法等の規制を受ける | ・医療機関が抱える売掛債権を現金化したい場合 |
買取型ファクタリングは、ファクタリング会社が売掛金を完全に買い取る形式です。売掛金の未回収リスクはファクタリング会社が負います。
保証型ファクタリングは、ファクタリング会社が売掛金の回収を保証する形式です。売掛金の未回収リスクは企業側が負いますが、手数料は買取型より安くなる傾向があります。
一括ファクタリングは、複数の売掛金をまとめて譲渡する方式です。手続きの手間が省けるメリットがあります。
医療ファクタリングは、医療機関向けの特殊なファクタリングです。診療報酬請求書(レセプト)を対象とします。
このようにそれぞれ特化している領域があり、また「一長一短」といった部分もありますので、自社の状況に合った方式を選ぶのが重要です。経営状況・資金需要に応じて、最適なファクタリングを選択しましょう。
ファクタリングを利用する場合の一般的な流れと、各段階での注意点を説明します。
ファクタリングの利用を検討する場合、事前相談からスタートです。この段階で、自社の状況や希望する条件をファクタリング会社に伝えましょう。ファクタリング会社側も、サービスの詳細や手数料などの説明を行います。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングで大きく異なる点があり、3社間ファクタリングの場合、事前相談後に売掛先の承諾が必要になります。
売掛先に対して、ファクタリングを利用する旨を伝え、了承を得なければなりません。
なお相見積もりも有効です。正式契約前の段階であれば、複数のファクタリング会社に相談するのも良いでしょう。条件を比較することで、より有利な取引が可能になるかもしれません。
事前相談の結果、ファクタリングの利用を決めたら、正式に申し込みを行います。多くの場合、オンラインフォームや電話で申し込みが可能です。
申し込み時には、会社名、代表者名、連絡先などの基本情報に加え、売掛金の詳細(金額、支払期日など)も必要になります。正確な情報を提供すると、審査がスムーズに進みます。
この段階で、利用する売掛金を決めてください。全ての売掛金を対象にする必要はありません。資金需要に応じて、必要な分だけを選んで申し込むことも可能です。
申し込み後、必要書類の提出を求められます。具体的な必要書類については後ほど詳しく説明しますが、一般的には身分証明書、通帳のコピー、売掛金を証明する資料などが必要です。
書類の準備には時間がかかることもあります。特に決算書や確定申告書など、すぐに用意できない書類もあるでしょう。あらかじめ必要書類を確認し、準備しておくと手続きがスムーズに進みます。
提出方法は、郵送やオンラインアップロードなど、ファクタリング会社によって異なります。指定された方法で、漏れなく提出するのが重要です。
提出された書類をもとに、ファクタリング会社が審査を行います。審査では主に、売掛金の確実性や自社の信用度が評価されます。
審査にかかる時間は案件によって異なりますが、早ければ即日、遅くとも数日程度で結果が出るでしょう。審査中に追加の資料を求められることもあるので、連絡にはすぐに対応できるよう心がけましょう。
審査結果によっては、当初の希望通りの条件で契約できないこともあります。その場合、条件の見直しや他社への相談を検討するのが良いかもしれません。
審査に通過すれば、いよいよ契約締結です。契約書の内容をよく確認し、不明な点があれば必ず質問しましょう。特に手数料や支払期日などの重要事項は、念入りにチェックしてください。
契約締結後、売掛金の譲渡手続きが行われ、指定の口座に入金されます。入金のタイミングは契約内容によって異なりますが、多くの場合、契約後すぐに入金されます。
契約後も、支払期日までの管理は重要です。2社間ファクタリングの場合、支払期日に確実に支払いを行う必要があります。3社間ファクタリングでも、取引先との関係維持のためのフォローは欠かせません。
ファクタリングを利用する場合には、いくつか書類が必要です。ここでは、一般的に求められる書類とその重要性、準備する場合の注意点を説明します。
身分証明書は、申込者の本人確認のために必要です。通常、運転免許証やマイナンバーカードなどが使用されます。
身分証明書は有効期限内のものを使用する必要があります。また、住所変更などで現在の情報と異なる場合は、変更手続きを済ませてから提出しましょう。
コピーを取る場合は、必要な部分が鮮明に写っているか確認してください。個人情報保護の観点から、必要な部分以外は黒塗りにするよう指示されることもあります。
通帳のコピーは、入金先の口座情報確認のために必要です。表紙と見開き1ページ目(口座情報が記載されているページ)のコピーが求められます。
通帳のコピーを取る場合は、口座番号や支店名が明確に読み取れるようにしましょう。また、法人の場合は必ず法人名義の口座を使用してください。
入金先の口座は、普段の事業で使用している口座と同じものを指定するのが一般的です。突然別の口座を使用すると、不審に思われる可能性があります。
売掛金を証明する資料としては、請求書や納品書、発注書などが該当します。こういった書類は、売掛金が実在することを証明する重要な証拠です。
提出する書類は原本である必要はありませんが、内容が明確に読み取れるものを用意しましょう。金額、取引先名、支払期日などの重要情報が確認できることが重要です。
複数の売掛金を対象とする場合は、それぞれの売掛金について証明する資料が必要になります。漏れがないよう注意してください。
決算書や確定申告書は、会社の財務状況を確認するために必要です。通常、直近1〜3期分の提出が求められます。
こういった書類は、審査時に会社や個人事業主の信用度を判断する重要な材料です。税理士などに依頼して作成している場合は、事前に準備を依頼しておくとよいでしょう。
決算書の内容に大きな変動がある場合(たとえば売上が急激に増減した場合など)は、理由を説明できるよう準備しておくと良いでしょう。
企業の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)は、会社の基本情報(商号、本店所在地、資本金、役員情報など)を確認するために必要です。通常、発行後3ヶ月以内のものが求められます。
登記簿謄本(履歴事項全部証明書)は法務局で取得できます。最近では、インターネットで請求することも可能ですが、余裕を持って取得するのが良いでしょう。
登記事項に変更がある場合(例えば住所変更や役員変更など)は、必ず変更登記を済ませてから提出してください。
印鑑証明書は、契約時に使用する印鑑が正式なものであることを証明します。登記簿謄本(履歴事項全部証明書と同様、発行後3ヶ月以内のものが求められる場合が多いです。
印鑑証明書は市区町村役場で取得できます。法人の場合は法務局で取得します。こちらも取得に時間がかかる場合があるので、早めの準備が大切です。
使用する印鑑は、必ず印鑑証明書に登録されているものを使用してください。異なる印鑑を使用すると、契約が無効になる可能性があります。
納税証明書は、税金の納付状況を証明する書類で、滞納がないことを示すために必要です。通常、「その3の3」(法人税と消費税及び地方消費税に未納の税額がないことの証明)が求められます。
納税証明書は税務署で取得でき、オンラインでの請求も可能です。
納税証明書の取得には手数料と納税者本人からの申請が必要です。代理人が申請する場合は委任状が必要になるので注意しましょう。
ファクタリングの利用を検討する場合、気になるのが所要時間と費用です。ここでは、ファクタリングにかかる時間と手数料について詳しく解説します。
ファクタリングにかかる時間は、利用する形態によって異なり、2社間ファクタリングの場合、比較的短時間で手続きが完了します。早ければ即日、遅くとも2日程度で資金を受け取れるでしょう。続きの手続きが簡素で、取引先の承諾も不要なため、スピーディーな資金調達が可能です。
3社間ファクタリングの場合は、やや時間がかかり、通常3日から1週間程度を要します。取引先の承諾が必要なため、その手続きに時間がかかるのが主な理由です。取引先との関係性によっては、さらに時間がかかることもあります。
手続きに時間がかかるかかからないかを左右する1つ目のポイントは、提出書類の準備状況です。必要書類がすぐに用意できれば、手続きは早く進みます。特に決算書や納税証明書など、取得に時間がかかる書類は事前に準備しておくとよいでしょう。
2つ目のポイントは審査の複雑さです。売掛金の金額が大きい場合や、取引先の信用度が不明確な場合は、審査に時間がかかる場合があります。
3つ目はファクタリング会社の対応速度です。ファクタリング会社によって対応のスピードに差があります。急ぐ場合は、迅速な対応を売りにしている会社を選ぶと良いでしょう。
最後のポイントは、取引先の対応です。3社間ファクタリングの場合、取引先の承諾にかかる時間が大きく影響します。普段から良好な関係を築いておくのが重要です。
ファクタリングにかかる手数料は、主に利用形態によって異なります。
2社間ファクタリングの場合、手数料は比較的高めで、通常10〜30%程度です。これは、ファクタリング会社が売掛金の回収リスクを負うためです。売掛金の額や支払期日までの期間、取引先の信用度などによって手数料率は変動します。
3社間ファクタリングの場合、手数料は2社間と比べて安く、1〜9%程度となる場合が多いです。3社間ファクタリングの手数料が安いのは、売掛先から直接ファクタリング業者に売掛金が支払われるため、未回収リスクが低いため。ファクタリング会社にとってはリスクが低いビジネスとなるため、手数料を抑えられるのです。
ファクタリングの手数料を決める主な要因は5つあります。
1つ目は売掛先の信頼性です。売掛先の企業規模や業績、支払い履歴などが考慮されます。信頼性が高ければ手数料は低くなる傾向にあり、大手企業や上場企業が売掛先の場合、比較的有利な条件で利用できる場合が多いでしょう。
2つ目は売掛金の金額です。一般的に、売掛金の金額が高いほど手数料率は低くなります。ただし、金額が大きすぎると審査が厳しくなる可能性もあります。
3つ目は支払期日までの期間です。期間が短いほど手数料は低く、期間が長いと手数料は高くなる傾向にあります。
4つ目は自社の財務状況です。決算書や納税証明書などで確認される自社の財務状況が、手数料に影響します。安定した経営状態であれば、手数料が低くなる可能性が高まります。
5つ目は利用頻度です。ファクタリングの利用頻度が高い場合、手数料率が優遇されることもあります。定期的な利用を検討している場合は、その旨を伝えて交渉するのも一つの方法です。
自社にとって最適な条件を提示してくれるファクタリング会社を選ぶのが重要です。複数の会社に相談し、条件を比較検討すると良いでしょう。
ファクタリングは有効な資金調達方法ですが、「やばい」と評される場合もあります。ここでは、そのような評価が生まれる背景と、実際の問題点について解説します。
結論から言えば、ファクタリングそのものは違法ではありません。適切に行われる限り、資金調達の有効な手段として認められています。
ファクタリングは本質的に、債権譲渡の一形態です。民法上、債権譲渡は適法な行為として認められています。
つまり、法的な枠組みの中で行われる限り、ファクタリングは合法的な金融取引なのです。
しかし、一部の悪質な業者による不適切な行為が問題視されることはあります。過剰な手数料を要求したり、契約内容を十分に説明しないまま取引を進めたりする業者も存在します。このような行為は、法的グレーゾーンに入るかもしれません。
利用者側は、信頼できる業者を選び、契約内容をしっかりと確認するのが重要です。適切に利用すれば、ファクタリングは経営の助けになります。
ファクタリングが「やばい」と評価される背景には、いくつかの理由があります。
まず、 ファクタリング業は免許や登録なしで営めるという点です。これは、参入障壁が低いことを意味します。結果として、信頼性の低い業者が市場に参入してくる可能性が否めません。
次に、 ファクタリング業を規制する専門の法律がないことも理由の一つです。他の金融業界と比べると、法的な監視が緩いといえます。このため、悪質な業者が法の目をかいくぐって活動できてしまう可能性があるといわざるを得ません。
さらに、 依存する危険性があるという点も指摘されています。ファクタリングは即時の資金調達が可能なため、気軽に利用してしまう企業もあります。しかし、手数料負担が重なると、長期的には財務状況を圧迫する可能性が否めません。
以上の理由から、一部では「やばい」と評価されることがあるのです。しかし、こういった問題点を理解し、適切に対策を講じれば、ファクタリングは有効な資金調達手段となるでしょう。
対策としては、信頼できる業者選びが重要です。実績や評判を重視し、信頼できる業者を選びましょう。また、契約内容の精査も欠かせません。手数料や条件を細かく確認し、納得できない点があれば質問や交渉をしましょう。
計画的な利用を心がけると良いでしょう。気軽に利用するのは避け、事業計画に基づいた計画的な利用を心がけてください。さらに、他の資金調達手段の検討も忘れずに行なってください。ファクタリングに頼りすぎず、銀行融資など他の選択肢も並行して検討しましょう。
ファクタリングは企業経営を支えるツールとなります。「やばい」という評価に惑わされず、適切に活用するのが重要です。
ファクタリングには、さまざまなメリットとデメリットがありますので、主要なものを詳しく解説します。
ファクタリングの主なメリットとして、まず、自社の業績が悪くても資金を調達できるという点が挙げられます。ファクタリングは売掛金を基にした資金調達方法です。このため、自社の業績や財務状況が芳しくない場合でも、売掛金さえあれば資金を調達できる可能性があります。銀行融資などが難しい状況下でも、資金繰りの選択肢として有効です。
特に創業間もない企業や、一時的な業績不振に陥っている企業にとって、大きな助けとなるでしょう。過去の業績よりも、現在の売上(売掛金)が重視されるため、将来性のある企業にとっては有利な資金調達方法といえます。
次に、資金調達にあまり時間がかからないという利点があります。ファクタリングは、比較的短期間で資金調達が可能です。特に2社間ファクタリングの場合、早ければ即日での資金調達も可能です。緊急の資金需要に対応できるのが大きな魅力といえるでしょう。
大型の受注があったものの、その製造費用を工面する必要がある場合など、スピーディーな資金調達が求められるケースで真価を発揮します。銀行融資のように審査に長期間かかることがないため、ビジネスチャンスを逃さずに資金を確保できます。
さらに、売掛先企業の倒産リスクを回避できるという点も重要です。ファクタリングを利用すると、売掛金の未回収リスクをファクタリング会社に移転できます。売掛先企業が倒産した場合に倒産リスクを負うのはファクタリング業者です。
特に、大口顧客への依存度が高い企業にとって、このメリットは大きいといえるでしょう。一社の倒産が自社の経営を直接脅かすような状況を避けられます。また、このリスク移転により、自社の信用力向上にもつながるかもしれません。
一方で、ファクタリングには以下のようなデメリットもあります。
まず、ファクタリングを利用する際には、必ず手数料が発生する点です。この手数料は、銀行融資の金利と比べると高めになる場合が多く、特に2社間ファクタリングの場合、手数料は10〜30%程度になることもあります。
1000万円の売掛金を20%の手数料でファクタリングした場合、実際に手元に入る金額は800万円です。短期的な資金需要を満たせる一方で、長期的には利益を圧迫する可能性があるため、慎重な判断が必要といえるでしょう。
次に、売掛先の業績次第で資金調達できない可能性があるという点も注意が必要です。
ファクタリングの審査は主に売掛先企業の業績や信用がチェックされます。
つまり、自社の業績が良くても、売掛先企業の信用度が低いと、ファクタリングの利用が難しくなるのです。
新興企業や財務状況の悪化している企業が主な取引先である場合、ファクタリングの利用ができない可能性があります。また、特定の業界全体が不況に陥っている場合なども、資金調達が難しいかもしれません。
さらに、依存度が高まるリスクも考慮すべきです。ファクタリングは比較的簡単に資金調達できるため、気軽に利用し続けてしまうリスクがあります。結果として、本来改善すべき財務体質の改善が後手に回る可能性があります。
毎月の運転資金をファクタリングに頼り続けると、手数料負担が重なり、長期的には財務状況を圧迫するかもしれません。一時的な資金繰り改善策としては有効ですが、根本的な経営改善を怠ると、悪循環に陥る危険性があります。
メリット、デメリットを十分に理解した上で、自社の状況に合わせて適切に利用するのが重要です。ファクタリングは、使い方次第で強力な経営ツールにも、リスクの高い選択肢にもなり得ます。
ファクタリングを利用する場合、業者選びは非常に重要です。ここでは、おすすめのファクタリング業者と、業者選びのポイントについて解説します。
業者名 | 特徴 | 審査スピード | 入金スピード | 手数料 | 契約方法 | 申し込み資格 | 利用限度額 |
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ビートレーディング | ・オンライン完結 ・必要な書類は2種類(会員登録時に本人確認書類が必要) ・創業1年未満の会社も利用可能 | 最短30分 | 最短2時間 | 2社間:4%~12% 3社間:2%~9% | 2社間、3社間 | 法人、個人事業主 | 上限下限なし |
日本中小企業金融サポート機構 | ・主に中小企業や個人事業主のサポート ・必要な書類は2種類 ・オンライン完結 | 最短30分 | 早ければ当日中 | 2社間:1.5〜10.0% 3社間:1.5〜10.0% | 2社間、3社間 | 法人、個人事業主 | 上限下限なし |
PayToday | ・審査がAI ・オンライン完結 ・手数料が1~9.5%と安く、上限が決まっている ・ベンチャー企業/スタートアップにも重点 | 最短30分 | 最短30分 | 1%〜9.5% | 2社間 | 法人、個人事業主、フリーランス | 10万円〜上限なし |
OLTA | ・審査がAI ・オンライン完結 ・手数料が2~9%と他と比べて安い | 最短即日 | 最短即日 | 2.0〜9.0% | 2社間 | 法人、個人事業主、フリーランス | 不明 |
ペイトナーファクタリング | ・審査がAI ・オンライン完結 ・手数料が一律10% | 最短10分 | 最短10分 | 10% | 2社間 | 法人、個人事業主、フリーランス | 1万円〜 |
ラボル | ・オンライン完結 ・登録時に本人確認書類が必要 ・請求書とエビデンス(担当者とのメール等)の提出でOK ・法人が取引先となる請求書のみ買取対象 | 最短30分 | 最短30分 | 3.0〜10.0% | 2社間 | 個人事業主、フリーランス | 1万円~ |
トップマネジメント | ・必要書類提出時に簡単なヒアリングあり ・契約時には法人印鑑証明と会社実印が必要 ・出張での面談や現金デリバリーも可能 | 最短30分 | 最短即日 | 2社間:3.5〜12.5% 3社間:0.5〜3.5% | 2社間、3社間 | 法人、個人事業主 | 30万円〜3億円 |
QuQuMo | ・オンライン完結 ・必要な書類は請求書・通帳の2点のみ ・債権譲渡登記不要 | 最短40分 | 最短2時間 | 1%〜 | 2社間 | 法人、個人事業主 | 上限下限なし |
アクセルファクター | ・オンライン完結 ・柔軟な審査 ・NPO法人、一般社団法人など、様々な事業形態の企業に対応 | 最短即日 | 最短即日 | 2社間:2.0%〜 3社間:5.0%〜 | 2社間、3社間 | 法人、個人事業主 | 30万円〜1億円 |
WIT(ウィット) | ・オンライン完結 ・コンサルティングを受けることもできる ・審査通過率が高い | 最短30分 | 最短2時間 | 2社間:5.0〜20.0% 3社間:要問合せ | 2社間、3社間 | 法人、個人事業主 | 下限なし〜不明(掲載事例の最高額は830万円) |
上記の表の通り、これらのファクタリング業者は、多くがオンライン完結や迅速な審査・入金を特徴としています。
特にAI審査を導入している業者(PayToday、OLTA、ペイトナーファクタリング)は、審査スピードが非常に速い傾向にあります。
手数料に関しては、業者によって大きく異なり、1%台から20%台まで幅広く設定されています。ただし、多くの業者が案件ごとに手数料を変動させる可能性があるため、実際の利用時には個別に確認が必要です。
利用限度額も業者によって異なり、数万円から数億円まで幅広く対応しています。特に、ビートレーディングや日本中小企業金融サポート機構、QuQuMoは上限下限なしと柔軟性が高いです。
申し込み資格は、ほとんどの業者が法人と個人事業主に対応していますが、一部はフリーランスにも対応しています。
契約方法は、2社間と3社間の両方に対応している業者が多いですが、PayTodayやラボルなど2社間のみの業者もあります。
これらの業者の中から選ぶ際は、自社の状況(法人か個人事業主か、必要金額、緊急性など)に合わせて、最適な業者を選択することが重要です。また、実際の利用に当たっては、各業者に直接問い合わせて最新の情報を確認することをおすすめします。
ファクタリング業者を選ぶ場合は、以下の10のポイントに注目しましょう。
1つ目は手数料率です。手数料率は業者によって大きく異なります。一般的に2社間ファクタリングでは10〜30%、3社間ファクタリングでは1〜9%程度です。実際の手数料率は案件ごとに変わりますので、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。
2つ目に考慮すべきポイントは、対応のスピードです。資金需要が急を要する場合、対応のスピードは重要な選択基準です。即日融資が可能な業者や、休日対応可能な業者を選ぶことで、急な資金需要にも対応できます。
3つ目に、取扱可能な売掛金の範囲も確認しましょう。業者によって、取り扱える売掛金の範囲が異なり、最低金額や最高金額、対象となる業種などに制限がある場合があります。自社の状況に合わせて、適切な範囲で対応できる業者を選ぶのが重要です。
4つ目に確認したいのは信頼性と実績です。ファクタリング業界は参入障壁が低いため、信頼性の低い業者も存在します。業界での実績や、利用者の評判などを確認しましょう。長年の実績がある業者や、大手企業グループの一員である業者は、比較的安心して利用できる場合が多いです。
5つ目は、契約条件の透明性です。契約内容が明確で、わかりやすく説明してくれる業者を選びましょう。隠れた費用や、不利な条件がないか、細かく確認するのが大切です。質問にも丁寧に答えてくれる業者を選ぶことで、安心して利用できるでしょう。
6つ目に確認したいのは、追加サービスの有無です。単にファクタリングを提供するだけでなく、経営相談や債権管理サービスなどの追加サービスを提供している業者もあります。こうしたサービスは、特に中小企業にとって大きな助けになる場合があります。
7つ目のポイントは審査基準です。業者によって審査基準は異なりますので、自社の状況や、主な取引先の特性に合わせて、審査に通りやすい業者を選びましょう。ただし、審査が甘すぎる業者は注意が必要です。
8つ目のポイントは、利用可能な売掛金の種類です。一般的な売掛金だけでなく、工事請負代金債権や診療報酬債権なども取り扱う業者もありますので、自社の業種や取引形態に合わせて、適切な業者を選びましょう。
9つ目のポイントは、個人情報の取り扱いです。ファクタリングでは、自社や取引先の情報を提供する必要がありますので、個人情報保護方針がしっかりしている業者を選び、情報漏洩のリスクを減らしましょう。
最後に確認したいのは、カスタマーサポートの質です。契約後のサポート体制も重要で、問題が発生した場合に迅速に対応してくれる業者を選ぶと、トラブルを最小限に抑えられるでしょう。
また、一つの業者にこだわらず、案件ごとに適切な業者を選ぶのも一つの方法です。ファクタリングを効果的に活用するためには、状況に応じた柔軟な対応がカギになります。
ファクタリングは、売掛金を活用した資金調達方法です。自社の売掛金を早期に現金化できる点が最大の特徴で、資金繰りの改善や運転資金の確保に有効です。
メリットとしては、自社の業績が芳しくない場合でも利用できる点や、迅速な資金調達が可能な点、売掛先の倒産リスクを回避できる点などがあります。一方、デメリットとしては手数料が比較的高額になる可能性があることや、売掛先の信用度に左右される点などが挙げられます。
ファクタリングを有効活用するには、自社の状況を的確に把握し、適切な業者を選ぶのが重要です。
手数料率、対応の速さ、信頼性などを総合的に判断し、最適な業者を選びましょう。
もっとも、ファクタリングに過度に依存せず、他の資金調達手段とのバランスを考慮することも大切です。
適切に利用すれば、ファクタリングは経営の強力な味方になります。利用する場合はしっかり検討した上で活用しましょう。
自らの経験に基づいた、ファクタリングや与信管理に関する豊富な実績を持ち、これまでに数百社の取引をサポート。
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