一括ファクタリングとは?メリット、デメリットも解説!

一括ファクタリングとは?メリット、デメリットも解説!

売掛債権を一括で買い取り、資金調達を可能にする一括ファクタリング。昨今、資金繰りに悩む中小企業経営者から注目を集めています。単発のファクタリングと異なり、複数の売掛債権を一度に現金化できる点が特徴です。

本記事では一括ファクタリングの基礎から実践的な活用方法まで、経営者目線で詳しく解説します。

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一括ファクタリングの基本

一括ファクタリングの基本

一括ファクタリングは、複数の売掛債権を一括で現金化できる金融サービスです。

事業規模や業種を問わず活用できる点も魅力的で、中小企業経営者の資金調達における新たな選択肢として、導入を検討する価値は十分にあるでしょう。

一括ファクタリングとは

一括ファクタリングは、企業が保有する複数の売掛債権を、ファクタリング会社が一括で買い取るサービスです。売掛債権の期日前に資金化が可能というメリットがあります。

通常のファクタリングでは、1件ずつ債権を売却するため手続きが煩雑になりがちです。一方、一括ファクタリングであれば、複数の売掛債権をまとめて売却できるため、事務負担が大幅に軽減されます。

また、金融機関からの借入とは異なり、担保設定や保証人は不要です。融資と比べて迅速な資金調達が可能となり、利用使途も制限されることはありません。

一括ファクタリングの手続きの流れ

ファクタリング会社との契約から入金までの流れは、まず企業側で一括ファクタリングの利用を検討し、ファクタリング会社に申し込みを行います。

申込時に必要な一般的な書類は、決算書や売掛台帳など、過去の取引実績や財務状況を確認するための資料です。次に、審査では企業の信用力や売掛先の支払い能力が精査されます。審査項目は会社の規模や業歴、決算内容など多岐にわたります。

審査通過後は、具体的な契約条件の協議に入り、買取価格や支払条件など、重要事項を確認しながら進めていくのが一般的です。無事に契約が成立すると、売掛債権の買取価格が決定され、企業側には通常1週間程度で入金されます。

一括ファクタリングの費用

一括ファクタリングの手数料は、売掛債権の金額や期間によって変動します。

一般的な費用の目安としては、月利1%から3%程度が相場です。売掛債権100万円の場合、手数料は1万円から3万円の範囲内となるケースが多くなっています。

費用に影響を与える要因は、売掛先の信用力が最も大きいです。優良企業への売掛債権ほど手数料は低く抑えられます。また、売掛債権の期間も重要な要素の1つです。期間が長いほど、手数料率は上昇する傾向にあります。

一括ファクタリングのメリットとデメリット

一括ファクタリングのメリットとデメリット

以下では、一括ファクタリングのメリットとデメリットについて詳しく解説します。

利用者のメリット

資金調達のスピードは一括ファクタリングの最大の強みです。審査から入金まで最短で数日で完了するため、急な資金需要にも対応可能となっています。

次に、決算書のオフバランス化も重要なメリットです。売掛債権が資産から消えることで、財務内容の改善につながります。

なお、債権の未回収リスクはファクタリング会社が負担します。取引先の倒産や支払い遅延のリスクから解放される点はメリットといえるでしょう。

利用者のデメリット

売掛先の同意なしでは利用できない点が最大のデメリットです。長期的な取引関係に影響を及ぼす可能性も考慮し、慎重な判断が求められます。

また、手数料負担は避けられない点も見逃せません。売上高に占める売掛債権の割合が高い企業では、収益を圧迫するケースもあります。

売掛先のメリット

売掛先のメリットとしては、優良企業として認定されている証明になります。ファクタリング会社の厳格な審査を通過した企業として、社会的信用度が向上するでしょう。

また、印紙税の削減効果もメリットの1つです。支払手形にて決済する場合、印紙の貼付が必要になるため、印紙税がかかってしまいます。さらには、支払業務の効率化も実現します。手形の振出や管理業務が不要となり、事務負担の軽減につながるでしょう。

売掛先のデメリット

売掛先のデメリットとして、支払期日の短縮化は避けられないため、資金繰りへの影響を考慮する必要があります。

また、事務負担の増加も懸念材料です。支払い条件の変更に伴う社内手続きの見直しが必要となるケースもあるため注意が必要です。

さらに、取引条件の変更には時間と労力を要します。社内規程の改定や承認手続きなど、事務作業が発生するでしょう。

一括ファクタリングと電子記録債権の比較

一括ファクタリングと電子記録債権の比較

以下では、一括ファクタリングと電子記録債権について比較してみました。

主な特徴の違い

項目一括ファクタリング電子記録債権
定義支払企業(売掛先)が、複数の納入企業に対する支払債務を一括してファクタリング会社に譲渡する金融商品。電子データで記録された金銭債権。手形や指名債権に代わる新しい金融手段。
主体支払企業債権者(売掛金を持つ企業)
目的支払業務の効率化、支払遅延の防止、資金繰り改善債権の電子化、取引の効率化、資金調達
特徴* 支払企業が主体となり、複数の債権を一括で処理 支払期日が短縮されることが多い
* 納入企業は早期に資金化が可能
* ペーパーレス化
* 分割譲渡が可能
取引の透明性向上
メリット支払企業:支払業務の効率化、資金繰り改善
納入企業:早期の資金化が可能
債権者:ペーパーレス化、取引の効率化、資金調達の可能性
デメリット納入企業:支払期日が短縮される可能性がある
支払企業:手数料が発生
システム導入コスト、セキュリティリスク

一括ファクタリングは即時の資金化が可能です。対して電子記録債権は満期日までの待機が必要となります。

手続きの面では電子記録債権が優位性を持つでしょう。システム化された処理により、事務負担を最小限に抑えられます。

費用面では電子記録債権が有利です。ファクタリング手数料と比較して、システム利用料は低額に設定されています。

一方で、信用力の面では両者に大きな差異はありません。金融機関の審査基準に基づく評価が行われます。

導入までの期間は一括ファクタリングに軍配が上がります。電子記録債権はシステム対応に時間を要するケースが多いでしょう。

利用に適した状況

一括ファクタリングは急な資金需要への対応に適しています。

一方で、電子記録債権は継続的な取引に向いています

利用について検討する際は、業界特性も選択の重要な要素です。建設業や製造業では電子記録債権が普及しています。また、取引規模によっても適性は変化します。大口取引には電子記録債権、小口分散的な取引には一括ファクタリングが向いているといえるでしょう。

導入の際の注意点

一括ファクタリング導入時は、費用対効果の検証が重要です。手数料負担と資金調達効果のバランスを見極める必要があります。

一方で、電子記録債権導入時はシステム対応が課題です。社内体制の整備や従業員教育も必要になる点に注意しましょう。社内規定の整備もしっかり行わなければなりません。

また、取引先との調整についても注意しなければなりません。支払条件の変更等の際は、慎重な協議が求められます。

まとめ

一括ファクタリングは、売掛債権の早期現金化を実現する金融サービスです。即時の資金調達や未回収リスクの回避など、経営面での効果は大きいと言えます。

ただし、導入に際しては売掛先との関係性や手数料負担を考慮し、企業の実情に応じた判断が求められる点に注意しましょう。経営戦略の一環として一括ファクタリングの活用を検討しているのであれば、専門家への相談も視野に入れることをお勧めします。

この記事を書いた人

自らの経験に基づいた、ファクタリングや与信管理に関する豊富な実績を持ち、これまでに数百社の取引をサポート。
当メディアでは企業の資金繰りに役立つ情報発信を行うとともに、中小企業向けにファクタリングのアドバイザリーサービスも提供しています。

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