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中小規模の経営者が資金繰りに悩んでいると、「手形割引」と「ファクタリング」というワードを目にする機会は多いのではないでしょうか?両者には「現金化」という共通点がありますが、利用時のポイントは大きく異なるため注意が必要です。
本記事では手形割引とファクタリングの違いについて分かりやすく解説していきます。
手形割引とファクタリングは銀行融資と比較すると審査のハードルが低く、即日での資金調達が可能な点が特徴的です。一般的な融資と異なり、既に発生している債権を活用する点で、返済に対する心理的負担も軽減されます。
ただし、両者には明確な違いがあり、状況に応じた使い分けが重要になってきます。
手形割引とは、受取手形を銀行などの金融機関に売り渡すことで、期限到来前であっても現金を手にすることができる金融サービスです。
手形割引というのは本来、期限到来後でしか現金化はできません。しかし、手数料や割引料などを支払うことで、例外的に手形を売却することができます。満額換金できるわけではありませんが、手形割引は長年にわたり企業間取引で活用されてきた資金調達方法の1つです。
魅力的なサービスではありますが、低金利で現金化が可能な反面、不渡りリスクは手形所有者が負担しなければなりません。
なお、受取手形には制度上の保障があり、半年の間に2回不払いを起こすことで金融機関との取引が制限されます。債務者側の社会的信用に関わってくるため、売掛金よりも受取手形のほうが現金化しやすいという特徴があります。
ファクタリングとは、売掛金を買い取ってもらうことで現金化するサービスです。ファクタリング専門の業者が債権を買い取る形式で、手形割引と比較すると審査基準が緩やかです。
資金調達までのスピードが速く、最短即日での入金も可能な点が特徴となります。近年では不渡りリスクを業者が負担するノンリコース型(非遡及型)ファクタリングも登場し、経営者の心理的負担も軽減され、利用しやすいサービスとなってきています。
また、ファクタリング会社は独自の審査基準を設けており、取引実績や業歴が浅い企業でも利用できる可能性が高いです。手数料は手形割引と比べると高めとなりますが、スピーディーな資金調達が可能となっています。
手形割引は銀行が主体となるのに対し、ファクタリングは専門業者による債権買取であることから、審査基準が比較的緩やかです。手形割引では、不渡り時に返済義務が発生しますが、ノンリコース型ファクタリングではリスクを業者が負担します。手数料面では手形割引が有利ですが、スピードと利便性ではファクタリングに軍配が上がるでしょう。
経営者としては、事業規模や過去の取引実績、資金調達の緊急性などを総合的に判断し、どちらを利用すべきかを選択する必要があります。
手形割引とファクタリングでは、手数料体系やリスク負担の仕組みが大きく異なります。ここでは、手形割引とファクタリングについてさらに詳しく比較してみましょう。
手形割引における手数料は、年利換算で1%から5%程度です。
振出企業の信用力が高いほど低金利での割引が可能という特徴があります。また、 割引手数料は支払期日までの期間に応じて計算される点も特徴です。
手形割引を利用する際は、金融機関による厳格な審査があり、取引実績や決算内容が重視されます。不渡り時には割引依頼企業に返済義務が発生し、信用情報にも影響を及ぼすことから、こうした点を理解した上で利用しなければなりません。
最悪のケースでは、銀行取引停止処分となるリスクも存在するため、手形の支払期日管理は慎重に行わねばなりません。
ファクタリング手数料は月利換算で1%から10%程度となり、手形割引と比較すると審査基準が緩やかな分、コスト面での負担が増加します。
また、ノンリコース型では不渡りリスクを業者が負担するため、経営者の心理的負担が軽減されます。支払遅延や不渡り時も返済義務が発生しない点が特徴的です。
なお、手数料は債権金額や支払期日、取引先の信用力などにより変動します。業者によって手数料体系は異なるため、複数社の比較検討が推奨されます。
リスク面を考慮するならば、手形割引における不渡り時の返済義務が大きな問題です。ファクタリングでは、リスク負担を回避できる一方で、高額な手数料が発生する可能性があります。
サービス利用時は、コストとリスクのバランスを考慮しなければなりません。
手形割引とファクタリングには、それぞれ異なるメリット・デメリットが存在します。
経営者は自社の状況に応じて、両者の特徴を理解した上で適切な選択を行う必要があるでしょう。ここでは、手形割引とファクタリングのメリット・デメリットについてご説明します。
手形割引は低コストでの資金調達が可能です。年利換算で1%から5%程度と、比較的低金利での現金化が実現できます。
また、金融機関との取引実績が積み重なることで、融資枠の拡大にも繋がります。長期的な金融機関との関係構築を見据えているのであれば、有効な手段となるでしょう。
さらに、大手企業が振り出した手形は、特に低金利での割引が可能というメリットがあるため、資金調達コストの抑制に貢献してくれるでしょう。
手形割引のデメリットとしては、不渡り時に返済義務が生じる点です。支払企業の経営状況悪化により、予期せぬ返済負担が発生する可能性があります。
また、銀行による厳格な審査があり、取引実績や決算内容が重視される点もデメリットの1つです。業歴が浅い企業や財務状況に問題がある場合、利用が困難となります。
さらには、手形管理における事務負担も発生し、支払期日の管理ミスによるリスクも存在するため注意が必要です。
ファクタリングの中でも、ノンリコース型では不渡りリスクを回避可能です。支払企業の経営状況悪化による影響を受けにくい点が大きな特徴となります。万が一の際のリスクヘッジがされている点はまさにメリットと言えるでしょう。
また、審査基準が比較的緩やかで、業歴が浅い企業でも利用できる可能性が高い点についてもメリットです。最短即日での資金調達も実現可能となっています。
ファクタリングのデメリットとしては、手数料が高額になってしまう点です。月利換算で1%から10%程度と、手形割引と比較すると負担が増加します。
債権金額や支払期日によっても手数料が変動するため、利用時には事前の比較検討が必要不可欠です。
特に、ノンリコース型を利用する場合は、回収に失敗した場合にファクタリング業者側の負担が避けられないため、手数料がどうしても高くなってしまいます。
手形割引とファクタリングは、企業の資金繰りを改善するための選択肢です。
手形割引は低コストながら不渡りリスクを負担する必要があり、ファクタリングは高コストながらリスク回避が可能です。
経営者は自社の状況に応じて適切な選択を行い、必要に応じて両者を併用することで、柔軟な資金調達体制を構築することができるでしょう。どちらを利用すべきか判断がつかない場合は、税理士などの専門家に相談してみるのもおすすめです。
ファクタリングの 達人編集部
自らの経験に基づいた、ファクタリングや与信管理に関する豊富な実績を持ち、これまでに数百社の取引をサポート。
当メディアでは企業の資金繰りに役立つ情報発信を行うとともに、中小企業向けにファクタリングのアドバイザリーサービスも提供しています。