ファクタリングで請求書を偽造するとどうなる?

ファクタリングで請求書を偽造するとどうなる?

資金繰りに困ったとしても、ファクタリングで請求書を偽造するのは絶対にやめましょう。

近年、ファクタリングの請求書偽造による詐欺事件が増加しており、2023年には1億円以上の被害が発生したケースも報告されています。

請求書を偽造すると、詐欺罪私文書偽造罪に問われ、刑事罰を受ける可能性があります。

さらに、会社だけでなく、個人の財産も没収される可能性も。

電子インボイス制度の導入により、請求書の偽造は見破られやすくなっています。

この記事では、ファクタリングの請求書偽造のリスクや、発覚した場合の対応策について詳しく解説します。

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請求書偽造の法的リスクと罰則

請求書偽造の法的リスクと罰則

資金繰りの苦しさから、ファクタリングにおける請求書偽造という選択肢が頭をよぎるかもしれません。

しかし、それは一時的な解決策に過ぎず、発覚した場合のリスクは計り知れません。

ここでは、請求書偽造の法的リスクと罰則について解説していきます。

請求書偽造に問われる罪

請求書を偽造すると、法律で定められた厳しい罰則が待ち受けています。

具体的には、書類を偽造した罪(私文書偽造罪)で5年以下の懲役、詐欺罪で10年以下の懲役が科されます。両方の罪に問われた場合、刑が重くなり、3年以上の実刑判決を受けるケースが少なくありません。

さらに深刻なのは、経営者本人の財産が差し押さえられ、事業の継続が難しくなることです。自宅や預金口座なども差し押さえの対象となり、家族の生活にも大きな影響が及びます。

一時的な資金繰りのために請求書偽造という犯罪行為を行うと、取り返しのつかない事態を招くことになるのです。

ファクタリングにおける他の違法行為

請求書の売却に関する違法行為は、ファクタリング取引でも厳しく罰せられます。

たとえば、同じ請求書を複数の会社に売る「二重譲渡」を行うと、刑法246条の詐欺罪として10年以下の懲役刑を科されてしまいます。

また、売上や利益を実際より多く見せかけて決済書を作成したり、回収した売掛金を無断で別の用途に使ったりすることも違法です。それぞれ詐欺罪や横領罪に問われ、5年以下の懲役刑になります。

さらに、民事裁判で訴えられれば、数千万円規模の損害賠償を求められることも。一度の違法行為が、取り返しのつかない結果を招くことになりかねません。

関連する書類偽造の罪

書類の偽造は、その種類によって異なる重い罰則が定められています。

契約書を偽造したり内容を書き換えたりした場合は、5年以下の懲役刑。より重い罪として、運転免許証などの身分証明書の偽造があります。

これは1年以上10年以下の懲役刑という厳しい処罰の対象です。また、他人の名義で口座を使用したり架空の口座を開設したりすると、10年以下の懲役刑となります。

会社としても最高3億円の罰金が科され、取引先から多額の損害賠償を求められる可能性もあります。

その結果、企業の存続自体が危ぶまれる事態に発展することも少なくありません。

請求書偽造の未然防止策

請求書偽造の未然防止策

ファクタリングにおける請求書偽造は、企業にとって大きなリスクとなります。そのため、未然に防ぐための対策を講じることは非常に重要です。

予防コストは決して安くはありませんが、発覚した場合のダメージ (金銭的損失、信用失墜、刑事罰など) と比較すれば、十分な投資価値があります。

ここでは、請求書偽造の効果的な防止策について詳しく解説します。

厳格な内部統制の構築

請求書に関する不正を防ぐには、しっかりとした社内の管理体制を整えることが何より大切です。

請求書の発行から入金の確認まで、必ず複数の担当者で確認を行います。

たとえば、経理担当者が作成した請求書を上司が必ずチェックする仕組みを作ったり、外部の専門家に定期的に監査してもらったりすることが効果的です。

請求書の発行記録や入金状況を一括して管理できるシステムを導入することをお勧めします。

3か月ごとに取引先と残高の照合を行えば、万が一の不正も早期に発見できるでしょう。

このような重層的なチェック体制があれば、不正のリスクを大きく減らすことができます。

信頼できるファクタリング会社と契約

ファクタリング会社を選ぶ際は、信頼できる企業かどうかを慎重に見極めることが大切です。

取引の実績が豊富で評判が良く、財務内容もしっかりしている会社を選びましょう

大手金融機関の関連会社や上場企業グループであれば、より安心して取引できます。

契約を結ぶ際は、約款や規約の内容をしっかり確認することが重要です。

違約金の条件や契約解除の場合の取り決めには注意が必要で、分からない点があれば必ず質問してください。

従業員への教育

従業員の意識を高めるため、具体的な事例を用いた分かりやすい教育が欠かせません。

実際にあった請求書偽造の事件を取り上げ、その結果どのような処罰を受けたのかなど、具体的に説明することで理解が深まります。

毎月の勉強会では、不正防止についての意識を継続的に高めていきましょう。

時には外部の専門家を講師として招き、新しい視点からの知識も取り入れると効果的です。

実務を担当する社員には、不正の兆候を見分けるポイントや、問題を発見した際の報告の仕方など、実践的な内容の研修を行います。

地道な教育活動が、不正防止の確かな土台となるのです。

請求書偽造発覚時の対応策

請求書偽造発覚時の対応策

もしも、ファクタリングで利用した請求書偽造が発覚してしまったら、冷静さを保ち、迅速かつ適切な対応をとることが重要です。

初期対応を誤ると、事態はさらに悪化し、取り返しのつかないことになりかねません。

ここでは、請求書偽造発覚時の対応策を解説します。

初期対応の重要性

最初に弁護士に相談することが不可欠です。

刑事事件に発展する可能性もあるため、専門家のアドバイスを受けながら慎重に対応を進める必要があります。

同時に、問題の全容を把握するための調査も欠かせません。

偽造された書類の数や関係者の範囲を明らかにし、関連する証拠をしっかりと保管します。

また、社内に調査チームを設置して組織的に調べを進めますが、情報が外部に漏れないよう、関係者には厳格な守秘義務を課すことも重要です。

こうした初期段階での適切な対応が、その後の問題解決の成否を左右することになります。

取引先への対応

請求書の偽造が発覚した場合、取引先への対応は「誠実さ」が何より大切です。

事実関係を正直に説明し、どのような対策を取っているのかを具体的に伝えながら、失った信頼の回復に努めます。

社内外への説明は、内容に食い違いが生じないよう、慎重に調整する必要があります。

取引銀行に対しては、できるだけ早い段階で状況を報告し、今後の取引についてよく話し合うことが重要です。

関係者全員が同じ認識を持ち、一貫性のある対応を心がけることが欠かせません。

法的措置と保険対応

請求書偽造が見つかった場合の法的な対応は、必ず弁護士に相談しながら進めることが大切です。

自ら警察に申し出ることで刑罰が軽くなる可能性もあるため、こうした選択肢も視野に入れて検討します。

また、早めに保険会社に連絡を取り、役員賠償責任保険が使えるかどうかを確認することも重要です。

さらに、損害賠償の請求に備えて、示談による解決も含めた対応策を練っておく必要があります。

法的な問題への対処は、専門家の助言を得ながら、できるだけ早い段階から計画的に進めることが望ましいでしょう。

まとめ

請求書の偽造は重大な犯罪であり、発覚すれば経営者個人と会社の両方に深刻な影響が及びます。懲役刑や多額の損害賠償といった厳しい処罰を受けるだけでなく、事業の継続も難しくなってしまいます。

資金繰りで困っている場合は、正規のファクタリングの利用や金融機関への相談など、正しい方法で解決策を探りましょう。

一時的な資金調達のために違法な手段を取れば、取り返しのつかない結果を招くことを忘れないようにしてください。

この記事を書いた人

自らの経験に基づいた、ファクタリングや与信管理に関する豊富な実績を持ち、これまでに数百社の取引をサポート。
当メディアでは企業の資金繰りに役立つ情報発信を行うとともに、中小企業向けにファクタリングのアドバイザリーサービスも提供しています。

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